会報記事


月刊ゴルフレビュー 【8月号】に
富里ゴルフ倶楽部の記事が掲載されました。

ゴルフレビューコース探訪 222
富里ゴルフ倶楽部
(千葉県山武郡芝山町)

18ホールがオーケストラのシンフォニーのようにハーモナイズされ
高い戦略性と和の美も加わった造形美に溢れる
日本庭園のような美しさとピンポイントを狙う戦略性がミックスされた名物7番ホール(パー3)

 富里ゴルフ倶楽部は1989年に開場、その1年4ヵ月後に姉妹コースのカレドニアン・ゴルフクラブが誕生している。
 共に米国の有名コースデザイナー、ジョン・マイケル・ポーレットによる設計だ。創業者の早川治良氏(現東京グリーン富里カレドニアン株式会社取締役会長)は第一番目の富里GCを建設するに当って、こんな理想を込めている。
 「1グリーンであること。それもピンポジションによって、幅広い攻撃ルートをもたせること。各ホールに個性があり、メモラビリティがあること。ホールごとにショットバリューがあり、ポイントをつなぐ妙味があること。上級者にはリスクと報酬を求め、エンジョイゴルファーや女性にも楽しめる幅広い攻略ルートを設けること。18ホールに長短、ハザード、アンジュレーション、グリーンの形状など変化をつけ、オーケストラのシンフォニーのようにハーモナイズされること。日本的な和の美を加味すること」などである。
 そしてコースの基本となるメンテナンスに力を注ぎ、プレーに当って十分な練習施設を作ることを念頭に置いた。
写真左:池を挟んで右が18番、左が9番。ロケーションも素晴らしい。
写真右:理想のコースづくりに情熱を傾ける早川氏

 1グリーンにこだわったのは、その昔の1973年(昭和48年)に皆川城CC(栃木県)を作った際、当時の常識だった2グリーンにした経緯を踏まえてのもの。
「2つが横に並んだ完全なメガネグリーンでした。当初はそれで満足していたのですが、時間が経つにつれて、バランスの悪さとまあみっともなさが目につくようになりました。それにターゲットゲームというゴルフ本来の性質を考えると最終目標のグリーンは1つであることが理にかなっていることに気づきました。1ホールに2つのグリーンではデザイン的にも、戦略的にも焦点がボケますし、不自然そのものでした。」
 早川氏は富里GCを作るに当って、世界各国の名コースを視察し、歴史に触れ、そして識者の意見に耳を傾けるにつれ、ゴルフコースは1グリーンであることに確信を抱いた。その思いや理想が富里GCに反映され、その後のカレドニアンGCに活かされたということである。

落ち着いたたたずまいと美しさの中に、随所に光る戦略性。
メンテナンス日本一を目指しての努力と資金投入。
ゴルフコースに必要なエキスが詰まった魅力溢れる富里ゴルフ倶楽部
 富里ゴルフ倶楽部(以下富里GC)が誕生するに当っては2人の人物がかかわっている。
 1人はゴルフ史家として知られる摂津茂和氏(世界ゴルフ大観=日本編・世界編の著者で知られる)と、ゴルフ評論家でコース設計者としても知られる金田武明氏(共に故人)である。
 ゴルフ史家として、ゴルフ発祥から現代までの歴史を研究してきた摂津氏と、米国に留学、スポーツイラストレイテッド誌アジア代表として活躍。ボビー・ジョーンズやジャック・ニクラス、アーノルド・パーマー、ゲーリー・プレーヤーらと深い親交のあった金田氏は、ゴルフ場建設に情熱を持つ早川氏の良きアドバイザーでもあった。
 その二人が口を揃えて早川氏に進言したのが「ゴルフコースはグリーンが命。世界的に見ても1グリーンこそが魂を吹き込まれる大切な条件。」という提案だった。
 そして金田氏がデザイナーとして薦めたのがジョン・マイケル・ポーレットだった。
 ポーレットは誰あろう、世界的に知られるロバート・トレント・ジョーンズシニアに師事し、片腕として腕をふるった設計家。
 面白いのはアメリカで活躍するコース設計家はそのほとんどが英国出身。シカゴGCを設計し、後にUSGA(全米ゴルフ協会)を設立したチャールズ・マクドナルドを筆頭に、パイン・ハーストNo2コース設計で知られるドナルド・ロス、オーガスタ・ナショナルGC設計のアリスター・マッケンジー、日本の広野GCや川奈ホテルGCで知られるチャールズ・アリソンらはスコットランドやイングランド出身。そしてR・T・ジョーンズシニアもまたイングランド生まれだった。
 アメリカに渡った彼らは、英国のリンクスと、土地に恵まれたアメリカの環境を融合させた「モダン・クラシック」の傑作コースを次々世に生み出した。

マイケル・ポーレットが心血を注いだハイグレードコース
うねるフェアウェイやバンカーが難度を高める

 その中でも現代手法を取り入れたのが、ポーレットである。金田氏は英国、アメリカのテイストに日本の和の美を融合させるにはポーレットを置いて他にないと、早川氏に薦めた。
 富里GCはそのポーレットが心血を注いだコースに仕上がった。和の美を取り入れたために一見しての荒々しさはない。
 だが、一見女性的な穏やかさと美しさの中に実はこれ以上ない芯の強さを秘めている。
 フェアウエーの微妙なアンジュレーション、打ち下ろし、打ち上げ、ドッグレッグと変化に富み、グリーンは縦長、横長、段差、左右前後の切れ込み、複雑なアンジュレーションと一つとして同じ形状はない。
 フルバック(GOLD)からの距離は6857ヤード、ブルーティからでも6562ヤード、ホワイトなら6243ヤード(共にパー72)と総じて距離は短い。だが距離と難易度は別ものだ。
 まさにプロや上級者にはリスクと報酬を紙一重にしている。
 たとえば名物7番のショートホール。ここは日本庭園風の美しいホールで、フルバックでも175ヤード、レギュラーティなら142ヤードと短い。
 ところがグリーンは左手前から右奥に斜めに細長く、左に向かって下り傾斜。手前は2つのバンカーと、急激なスロープが下の池まで続いている。右にピンが切ってあれば、そのピンを狙って少しでもショートすればスロープを転がり落ちて簡単にダブルボギーも出る。
 安全に左を狙ってフックすれば林の中。奥のバンカーにでも入ればグリーンは下り傾斜で恐怖のバンカーショットとなる。まさしく勇気と技術が要求される。
6月にはアジサイ。四季折々の花々が咲き乱れる

 9番はブルーティから415ヤード、レギュラーティからでも388ヤードと長いパー4。
 ティーショットは谷越え。右サイドには高い樹木が続き、グリーン手前左は池。おまけに花道は幅15ヤードほどしかない。
 第2打で距離を必要とする上に少しでもフックすれば池の餌食。
 2オン狙いなら右の立ち木越えだが、少しでもミスれば木に当る。刻むか、狙うか思案のしどころ。全編こんな調子が続く。
 ゴルフ発祥の地、英国にはこんな考えがある。それはロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフ倶楽部の規則委員長を20年も務めた識者ジョン・ローの言葉に代表される。
 「ゴルフは地中海の航海に例えれば、真の面白さは際どいところで”スキュラ”(ギリシャ神話の中の6つの頭を持つ怪物女)をすり抜け、無傷で”カリュブディス”(シシリー島沖の大きな渦巻き)をくぐり抜けるところにある」(大塚和徳著『ゴルフ五番目の愉しみ』から)
 つまり危険やスリルを乗り越えてこそ真の喜びや楽しみが味わえるということだ。
 こういう考えは日本人にはない。富里GCはそこまでおどろおどろしたところは無くても、それに近い面白さがある。
 だが距離の長さではなく、戦略性を重視したレイアウトは、女性や非力なゴルファーでもそれなりの楽しさがある。リスクをおかさず、正確なショットを繋ぎ、アプローチやパットでしのげば、パーも十分取れる。これもまたゴルフの真髄である。
充実したアプローチ練習場が最大の魅力

故中部銀次郎氏が惚れ込んだ充実のアプローチ練習場
 富里GCの他では見られない素晴らしさは充実した練習施設にもある。特にインコーススタート近くにあるアプローチ練習場は秀逸。広大なスペースに大きくうねるグリーンと深いバンカー、アプローチエリア。本グリーンと変わらない手入れの行き届いたグリーンはアプローチやバンカーショットでの転がりやスピンの効き具合が一目で分かる。
 今は亡き中部銀次郎氏(日本アマ6回獲得の不世出のトップアマ)が、ここに惚れ込んで日がな一日練習したというエピソードがある。
 オーナーの早川氏は現在一つの目標を掲げている。それはメンテナンスで現在日本一といわれる軽井沢GCに追いつき、追い越すこと。「支配人やグリーンキーパーを軽井沢に派遣し、勉強させています。フェアウェーを10ミリから11ミリにカットしてカーペット状にし、ラフは通常1〜2週に1回刈り込むところを週に2回刈り込んでいます。イメージはオーガスタ。コースのグレードを上るためにはお金を惜しまないつもりでいます」
 四季に応じてコースを埋め尽くす花々。生い茂る樹木、絨毯のように艶のあるフェアウェー、青い空を映す池の水面。ここは非日常溢れる別天地。こんなところでプレーできるゴルファーは幸せだ。
中部銀次郎氏はここを特に好んで日がな練習をしていた

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月刊ゴルフレビュー 【8月号】(発行所:(有)ジーエフ企画、2013年7月20日発行)より転載