会報記事


スコットランドの名コースに学ぶ


 富里ゴルフ倶楽部がスコットランド指向の戦略型コースとして開場して25年。日本のゴルフ場の中でも際立ったいくつかの特徴があります。それらの特徴と、なぜ戦略型コース設計を目指したかお話したいと思います。

自然を生かせばゴルフは面白い

 スコットランドのゴルフコースといえば、まずリンクスを思い浮かべます。波のごとき複雑なアンジュレーションと自然にできた大小のバンカーやサンドヒル。そして海から吹き付ける強風との戦い。近世のマン・メード・コース専門の名設計家ハーバート・フォウラーは、「リンクスは神が造ったゴルフコースだ」と述べ、人間のおせっかいな弄りまわしは少ないほどよいと説いています。
 富里ゴルフ倶楽部の設計者J・マイケル・ポーレットが目指したのも、まさにこの神が造りたもうた『自然』を大切にし、その土地の持つ特徴や自然環境に合ったコース作りを具現化したのです。
 具体的には、建設当時まだまだアメリカ的なロングコースが受け入れられた時代に、全体の長さを縮め、同時にホール別に長さの変化を作りました。これによって、あるホールではドライブショットでアイアンを巧みに使うこともでき、一方ではフェアウェイでウッドを使うホールも出てくるといった、ゴルファーが自分の能力に合わせてゴルフを楽しめるコースが完成したのです。


富里15番ホールに見る戦略性

 18ホールは普通4ホールのパー3とパー5、そして10ホールのパー4から成り立っています。
 だから、パー4のデザインにバラエティを持たせるのが設計家にとって腕の見せ所になります。
 15番ホールの距離の短いパー4をいかに“曲者”ホールに仕上げるか?が難題なのです。ポーレットはここでティショットのポジショニング、ライに応じたウェッジのコントロール・ショットの質を問う見事な“曲者”ホールに仕上げたのです。こうした戦略型コースの基本はゲーム性があって、スリリングでエキサイティングだということ。リスクが大きければ大きいほど、そのリスクを冒して成功した場合の満足度は計り知れないものがあります。
 富里はこうした考えで設計されたホールが18ホールズ、音楽の流れのように連続して続きます。だからいつまでも飽きのこないプレーが楽しめるのです。

(1999年 TAM ARTE QUAM MARTE誌 26より抜粋)