会報記事


理想のコースづくりをめざして


 カレドニアン・ゴルフクラブがいまから25年ほど前、まず真っ先に考えたのが、日本のゴルフコースの歴史を塗り変えるようなコース作り、世界の名コースの中に指折り数えられるようなコース作りを実現させたい、ということでした。
 それを可能にするのがリンクスの思想を持ったゴルフコースの造成でした。

リンクスランド

 リンクスランドとは、スコットランドからイングランドの東南岸にかけて最も多くみられる、独特の波のような起伏の広大な砂丘の草原をいいます。当然このような地形にできたゴルフコースは、波のごとき複雑なアンジュレーションと自然にできた大小のバンカーやサンドヒルが多数あり、ゴルファーにとっては難攻不落の要塞を攻略するようなものとなります。その代表選手がセント・アンドルーズ・オールドコースです。アメリカの不世出の天才といわれたボビー・ジョーンズでさえ、彼の回想録の中で、「1921年の全英オープンで、初めてセント・アンドルーズでプレーしたとき、私はイギリス人がなぜこのコースを礼讃するのかその理由がどうしてもわからなかった。それのみか、ここを世界で一番悪いコースの一つだと考えて、あやうく侮辱したくなったぐらいだ」と書いています。しかし、その後ジョーンズは、オールド・コースを研究し、挑戦した結果、6年後の1927年、全英オープンで再びプレーし見事優勝を飾ったのです。
 その時にはこのコースの真価を知って「このオールド・コースに巧みに隠蔽された、いわゆるスコットランド人が神の摂理と称する、一つの攻撃ルートを探しだそうとする努力だけでも、アメリカの内陸コースで100回プレーするよりはるかに教えられる。」と述べています。


イングランド東南岸のライ・リンクスにある風よけの古枕木(スリーパー)に囲まれた
スープ皿と呼ばれる天然のバンカー

リンクスの思想

 リンクスの思想とは何か。それは自然を破壊するような、無用な人工の手を極力避け、すべてのゴルファーにとってエキサイティングで飽きのこないコースセッティングを行うことです。カレドニアンで言えば、丘のうねり、窪地のたわみ、木立の息遣いを大切にしながら、雨が降ろうが風が吹こうが、自然と対峙しあるがままにプレーができるコース作りを行うこと。この考えに共鳴してくれたのが、コース設計家J・マイケル・ポーレットでした。彼はスコットランドのコースを深く研究し、当社社長・早川と同じ意志の元に、横芝町の山林をくまなく歩き、自由闊達にリンクスの思想をカレドニアンに取り入れました。事実、カレドニアンの8番ホールはフルバックから446ヤードと、距離の長いミドルホールですが、ティグラウンドに立つとグリーンの左サイドをガードする巨大なバンカーに目を奪われます。曲線と曲線が複雑に織り成すその造形美は、まるで大地をキャンバスにして描くモダンアートのようです。また、最終ホール18番の池は広く美しく、青い池を縁どる白い渚バンカーはギリシャ神話を彷彿とさせます。

(1999年 TAM ARTE QUAM MARTE誌(カレドニアン)12より抜粋)