会報記事


株主会員制移行による会員のメリット
早川社長にインタビュー



いま、このクラブ会報誌を読んでいただいている会員各位の一番の関心事は、富里ゴルフ倶楽部とカレドニアン・ゴルフクラブが預託金の会員制クラブから株主会員制のクラブに移行することだと思います。
しかしながら、「中間法人による間接株主会員制について、今ひとつ、すっきりと理解できない」という会員の方もいらっしゃるようです。
そこで両コースの経営会社である東京グリーン(株)の早川社長に、間接株主会員制のクラブと会員のメリットなどについて率直に聞いてみました。
聞き手・編集部


会員で組織する中間法人が会社の大株主になる
まず、株主会員制のクラブとは、どんなものなのか、説明してください。
早 川 株主会員制のゴルフ場には、会員がひとり一人直接に経営会社の株主になる方法と、会員が組織する団体(クラブ)が経営会社の株主になる方法があります。
それは?
早 川 前者が直接株主会員制、後者が間接株主会員制といわれています。
直接株主会員制は一見すると、ひとり一人が株主になるので有利のように見えます。しかし、実際にはひとり一人の発言力は強くない上、責任体制が不明確で、意思決定にも時間がかかるなどの弊害があるために会社の経営に支障が生じ、経営が不安定になるといわれています。
それに直接株主会員制にして会員権を現物出資するとすれば、正会員、平日会員などの会員権を法的に評価しなければならない。その作業を裁判所の選任した検査役が行うので、評価がどの程度になるか不明であるという問題もあるようですし、時間も費用もかかると聞いていますが……。
早 川 そのとおりですが、他に株主が50人以上になると証券取引法の適用を受け、有価証券届出書の提出をするために費用や時間もかかるし、税法の問題もあります。それで特別委員会では中間法人法による間接株主会員制への移行がいいということになったのだと思います。
中間法人法とは?
早 川 平成14年4月に施行された新しい法律で、営利も公益も目的としないで、町内会や同窓会のように、親睦や会員の利益の保全などを目的とした組織が中間法人として法人格が認められることになりました。その法律によって会員組織としてのゴルフクラブも中間法人化ができるようになったのです。
では、中間法人として認められる会員のゴルフクラブとは、どんなものなのですか?
早 川 中間法人法にのっとって会員を社員とする団体です。この団体に加入する会員は預託金返還請求権を管理することになります。その上で中間法人富里倶楽部とカレドニアン・クラブ(いずれも仮称)の双方が、東京グリーンの株式22.5パーセントづつを額面価格(500円)の十分の一で取得します。
これにより合わせて45%の東京グリーンの株を二つの中間法人が持つことになります。つまり、会員で組織する中間法人が経営会社の大株主になるわけです。
なるほど……。

会員による会員のためのクラブ運営に向けて
早 川 この方式は現在、経済産業省の日本ゴルフ場事業協会が中心になって「中間法人によるゴルフ場事業の再生に関する検討会」が発足して研究しており、5月頃には研究成果が公表され、今後、中間法人方式のゴルフクラブがゴルフ場経営の大きな流れになると推測されます。
いってみれば富里倶楽部とカレドニアン・クラブは新しいゴルフ場経営の先駆者、モデルケースとして注目されることになると思われます。
ここまでこぎつけた経過を、簡単に説明していただけますか?
早 川 順を追って説明していきましょう。預託金の償還は、その時期を10年延長することで、平成11年と12年に会員各位の了承を得ましたが、現在のデフレ化した日本経済の動向によっては、10年の延長は抜本的な解決策とはいえません。
それで富里ゴルフ倶楽部とカレドニアン・ゴルフクラブに、それぞれ民主的に選ばれた会員で構成された特別委員会が理事会の諮問機関として設置され、委員諸氏が根本的な解決を目指して真剣に、かつ忙しい時間を割いて、2年間にわたって審議を続けていただきました。
その審議途中で預託金問題の権威でもあり、前記の研究会の座長でもある弁護士の服部弘志先生にレクチャー、指導を受けたりして、多面的に考え、最終解決策として預託金会員制の倶楽部を中間法人による株主会員制のクラブに移行することが“会員による会員のためのクラブ運営”を実現させる最良の方式だという結論に達したわけです。

会員の権利の無価値化を避ける
今年1月に開催された富里ゴルフ倶楽部とカレドニアン・ゴルフクラブの特別委員会の議事録を見ますと
1. 銀行に大幅な債務減額を認めてもらう。
2. 会員各位には、預託金の返還は現実的に不可能であることを認識してもらって、個別的な返還請求はしない。
この二つの条件が確保できなければ、預託金会員制をとる東京グリーン経営のゴルフ場は生き残っていくことは出来ず、結局全会員の権利が無価値化することを踏まえての株式化だということが記載されていましたが、中間法人化によっての会員のメリットは?
早 川 預託金会員制だと経営会社が万一ですが倒産、解散した場合、会員の権利はほとんどなくなってしまいます。
その点、中間法人は株主として財産権を持ち、また会員の皆様から信託譲渡を受けた預託金債権について、会員全体の預託金債権額を極度額としてゴルフ場の施設全体に根抵当権を設定するか、譲渡担保を原因とする所有権移転の仮登記をして、東京グリーン所有の動産類に譲渡担保を設定します。
ですから法的にも可能な限り会員の権利が守られることになります。
両ゴルフ場は、現在は銀行に第一根抵当権がありますが、近い将来、債務の返済が終われば、第一順位の担保権は中間法人に移りますので、会員の財産権保護は強いものとなります。
銀行債務の返済のメドは?
早 川 平成不況の中で入場者数の確保に努めたことで、徐々に来場者も増えてきました。
それに、ここ数年にわたって続けてきた合理化とリストラが実を結んで、会社の収支は黒字化の傾向にあり、取引銀行からも高く評価されています。
銀行債務の減額が認められれば、残りの債務は利益の中から10年以内に返済する予定となっています。

衆知を集めた経営とクラブ運営に
他にはどんなメリットが挙げられますか?
早 川 中間法人は規約を作成して富里倶楽部とカレドニアン・クラブから会員総会で選ばれた良識と見識のある方を取締役、監査役に各一名東京グリーンに送り込みます。
その結果、当然のことながら会員の集約された要望、主張が経営に強く反映されることになり、情報開示も受けてこれまで以上に透明性の高い民主的な経営形態の中で会員のアイデアとか、アドバイスとか、衆知を集めた経営とゴルフクラブの運営ができるようになると思っています。
たとえば、1.営業方針、2.予約の取り方、3.集客方法、4.平日、土曜、日曜、祝日の入場者のバランスをどうとるべきか、5.メンバーの格調と維持……などの問題に関しても、毎月の取締役会で会員代表の役員を交えて検討・審議され、経営と運営に反映されますので、会員の理解が得られ、満足度向上につながっていくでしょう。
確かに会員の代表が経営に参加することの意義は大きいですね。
早 川 一方、厳しい企業競争を闘い抜く経営を展開するには経験と強いリーダーシップが必要です。
日々の判断、決断など時間との戦いもありますし、責任を持って効率のよい経営にあたり、本当の意味で会員のために尽くす使命が発揮できる体制も必要です。

預託金債務は将来、毎年の利益の中で返還される
会員が中間法人に信託した預託金返還請求権はどうなるのでしょうか?
早 川 中間法人は一括して、預託金返還請求権を管理することになります。
預託金は現状では会員にそれぞれ返還することは不可能ですが、将来、銀行の債務を完済したあと、会社の、毎年の利益の中から返還していくことは可能だと思います。
返還する方法は、中間法人と会社が協議して公平、中立な観点で分配されるよう決められると思います。

株主会員制の会員権の方が、相場評価が高い
中間法人の間接株主会員は、自分の会員権を譲渡できるのですか。
早 川 当然預託金制の会員権と同様に、株主会員権として市場で売買譲渡することが可能です。
新たな譲受人は、中間法人の新しい社員として加入を認められることを条件にゴルフクラブの会員となります。
一般的には、会員権市場では預託金制会員権よりも株主制会員権の方が、価格が高く評価されていますね。
早 川 それは前述したメリットから見ても明らかだと思います。

経営の使命は効率経営と質の追求
問題点もあると思うのですが・・・?
早 川 最終的には利益の配分をどうするかですね。
コースをよりよくするための改造費やメインテナンスの質、サービスの向上とモラルのアップにつながる従業員の給料や福利厚生に資金をどの程度つぎ込むか。
また、入場者数のコントロールで会員のゆったりプレーをどこまで答えるか、これはビジターの入場制限で減収につながるので難しい調整となりますが……。
つまるところ会員の満足度アップのために資金をどう配分するか。こうした点が問題になるでしょう。
要するに、会社は効率経営と、ゴルフ場の質の追求に努力しながら、中間法人(会員)の要求・要望にどう答えていくかが経営の使命だと思っています。
会員自身も経営内容やクラブ運営をより深く理解して、中間法人を通して協力することが大切ですね。
早 川 私自身、今でも“良質のコースを造って維持、管理を徹底すると同時に、不況下でもサービス精神を忘れずに”という経営方針を精一杯貫いているつもりですが、これからは会員と一緒になって衆知を集めて、会員全体が納得し、満足する経営にいかに近づけられるか、前向きな喜びを感じています。

経営の使命は効率経営と質の追求
今年は富里ゴルフ倶楽部とカレドニアン・ゴルフクラブが、21世紀の新しいタイプのゴルフクラブとして再スタートをする記念すべき年ですね。
早 川 会員ひとり一人が真にコースを愛し、クラブライフを心からエンジョイする、言い換えれば、法的に確立された財産権としての会員権、プレー権を有する会員が経営にも参画して、責任と義務を果たしながら、クラブライフを楽しむことになるという意味で画期的なことだと思います。
室伏キャプテンが、かつて“TAN ARTE QUAM MARTE”誌で期待された「メンバーがプライドを持って人に語り、心底から愛せるクラブがベスト」の実現が目前になったと確認しております。

(2003年 TAM ARTE QUAM MARTE 37より抜粋)

※ 社名、役職等は会報誌発行当時のものとなります。
※ 一部の画像は、出版物から利用しているため、見づらい場合があります。予めご了承ください。